頑張れPeach Aviation、頑張れ日本のLCC
いよいよ明日3/1、日本初の本当のLCCであるPeach Aviationの初フライトだ。
http://www.flypeach.com/
この動きを「航空業界の新しい潮流」などとおっしゃる方もいるが、僕の印象はそのまったく逆、いや〜、さんざん待ってやっとこさ日本にもLCCが来たか、というものだ。
http://www.flypeach.com/
この動きを「航空業界の新しい潮流」などとおっしゃる方もいるが、僕の印象はそのまったく逆、いや〜、さんざん待ってやっとこさ日本にもLCCが来たか、というものだ。
飛行機っていうのは機材も高価だし空港整備にも金がかかるから、なんだか上等な乗り物な気がする。しかし一方で考えてみると、移動速度が速いというのは単一機材の稼働率がかなり高められる、ということでもある。
実際、いま東南アジアやヨーロッパで飛んでいるLCCは、もしかしたら人類がかつて経験する移動手段の中で、最も「ローコスト」なものかもしれない。Ryan Airが1フライト0.99ユーロとかで出す特別運賃はもちろん、標準的に購入できる航空券でも、高速バスより額面が安い。そしてなにより、バスや電車よりは当然に速いわけで、それも考え合わせると本当にローコストだと言える。
よく「安いと安全性が心配」などという通り一遍、紋切り型の反応をする人がいるが、これは思考力欠如と言わざるを得ない。事実として調べてみると、たとえば格安な航空会社のある種のお手本を作ったアメリカのサウスウエスト航空は、1971年の就航以来、いまだ乗客の死亡事故はゼロだ。オーバーランで地上の自動車を巻き込んだ事故が1件あるが、短距離便中心で離発着数が格段に多い中では、世界でもトップクラスの安全性であることは間違いない。
ヨーロッパのLCCはだいたいにおいて新しい機材が多く、安全性も高い。東南アジアではインドネシアのLCCが墜落事故を起こしているが、そもそもあの国は国営航空会社さんの事故も多い。こうした事実の比較が物語るのは、LCCのほうがむしろ安全性が高い、という事実だ。
▼本当は日本向きなLCC
現代風LCCの先駆けとなったライアンエアーが設立されたのが1985年。LCCがさかんに利用されるようになったのは'90年代の後半だ。直近15年あまり、日本は世界のLCC潮流から取り残されてきていた。それがやっとこさ、今年ようやくLCC元年といえる状態になったのだ。
本来、LCCというモデルは日本向きだ。まず、お金を積んででも便を誘致したい無駄な空港がたくさんある。そして地形的に山が多く、短距離移動でも結構苦労することがある。そして高速道路料金が世界でも類を見ないほど異常に高額で、鉄道も同様。ガソリン代も高い。
さらにいうと、礼儀正しい国民性のため機内清掃の手間が少ない。従業員も勤勉で生産性が高く、世界の標準からすると従業員の定着率も高い。そしてそもそも、航空会社の乗客となる人口も多い。
というわけで日本こそ、世界一のLCC大国になってくれると期待したい。
▼LCCが生活を変えるにはもう一歩
Peach Aviationや、先行するスカイマーク、そして今年就航するJetStar JapanとAirAsia Japanは、どれも国内の主要路線をカバーしている。おおむね似たような路線で値段の叩き合いをしてくれるので、利用者としてはたいへんありがたい状況がまずは続くだろう。
しかし、LCCが本当に世の中の役に立ち、生活を変えてゆく段階に入るのは、現状のたとえば「関西〜福岡」などではなく、もっとマイナーな空港への路線がたくさん開設されたときだ。たとえば北海道の女満別など、競争がないので羽田から往復するとなんと80,000円位かかってしまう。こういう路線にどんどんLCCが入ってくれば、地方の活性化も実現するというものだろう。
LCCが本当に地方経済を活性化させるかは、もちろんそんなに簡単な話ではない。たとえば東京湾にアクアラインが開通して便利になった木更津は、買い物客を対岸に奪われて駅前がさびれてしまった。地方都市も、ただ従前のままセコいレベルでの地の利を活かすだけのビジネスをしていては、こうした俗に言うストロー効果に吸いつくされてしまう。
LCCの普及とともに、人々の生活スタイルを変える流れに、うまく合致した作戦をみんなが取る必要がある。たとえば飛行機が片道4,000円位なら、家族は地方の広大な家に住み、お父さんは月〜木をがっつり働いて、金土日は家族の元に移動、なんていう生活も現実味を帯びてくる。
こうした、職住スタイルの変革まで波及してこそ、LCCの社会的意義が出てくるというものだ。そのためには、企業も個人も、前世紀の遺物と化している労働慣習という固定観念から、とりあえずは解き放たれている必要もあるだろう。
実際、いま東南アジアやヨーロッパで飛んでいるLCCは、もしかしたら人類がかつて経験する移動手段の中で、最も「ローコスト」なものかもしれない。Ryan Airが1フライト0.99ユーロとかで出す特別運賃はもちろん、標準的に購入できる航空券でも、高速バスより額面が安い。そしてなにより、バスや電車よりは当然に速いわけで、それも考え合わせると本当にローコストだと言える。
よく「安いと安全性が心配」などという通り一遍、紋切り型の反応をする人がいるが、これは思考力欠如と言わざるを得ない。事実として調べてみると、たとえば格安な航空会社のある種のお手本を作ったアメリカのサウスウエスト航空は、1971年の就航以来、いまだ乗客の死亡事故はゼロだ。オーバーランで地上の自動車を巻き込んだ事故が1件あるが、短距離便中心で離発着数が格段に多い中では、世界でもトップクラスの安全性であることは間違いない。
ヨーロッパのLCCはだいたいにおいて新しい機材が多く、安全性も高い。東南アジアではインドネシアのLCCが墜落事故を起こしているが、そもそもあの国は国営航空会社さんの事故も多い。こうした事実の比較が物語るのは、LCCのほうがむしろ安全性が高い、という事実だ。
▼本当は日本向きなLCC
現代風LCCの先駆けとなったライアンエアーが設立されたのが1985年。LCCがさかんに利用されるようになったのは'90年代の後半だ。直近15年あまり、日本は世界のLCC潮流から取り残されてきていた。それがやっとこさ、今年ようやくLCC元年といえる状態になったのだ。
本来、LCCというモデルは日本向きだ。まず、お金を積んででも便を誘致したい無駄な空港がたくさんある。そして地形的に山が多く、短距離移動でも結構苦労することがある。そして高速道路料金が世界でも類を見ないほど異常に高額で、鉄道も同様。ガソリン代も高い。
さらにいうと、礼儀正しい国民性のため機内清掃の手間が少ない。従業員も勤勉で生産性が高く、世界の標準からすると従業員の定着率も高い。そしてそもそも、航空会社の乗客となる人口も多い。
というわけで日本こそ、世界一のLCC大国になってくれると期待したい。
▼LCCが生活を変えるにはもう一歩
Peach Aviationや、先行するスカイマーク、そして今年就航するJetStar JapanとAirAsia Japanは、どれも国内の主要路線をカバーしている。おおむね似たような路線で値段の叩き合いをしてくれるので、利用者としてはたいへんありがたい状況がまずは続くだろう。
しかし、LCCが本当に世の中の役に立ち、生活を変えてゆく段階に入るのは、現状のたとえば「関西〜福岡」などではなく、もっとマイナーな空港への路線がたくさん開設されたときだ。たとえば北海道の女満別など、競争がないので羽田から往復するとなんと80,000円位かかってしまう。こういう路線にどんどんLCCが入ってくれば、地方の活性化も実現するというものだろう。
LCCが本当に地方経済を活性化させるかは、もちろんそんなに簡単な話ではない。たとえば東京湾にアクアラインが開通して便利になった木更津は、買い物客を対岸に奪われて駅前がさびれてしまった。地方都市も、ただ従前のままセコいレベルでの地の利を活かすだけのビジネスをしていては、こうした俗に言うストロー効果に吸いつくされてしまう。
LCCの普及とともに、人々の生活スタイルを変える流れに、うまく合致した作戦をみんなが取る必要がある。たとえば飛行機が片道4,000円位なら、家族は地方の広大な家に住み、お父さんは月〜木をがっつり働いて、金土日は家族の元に移動、なんていう生活も現実味を帯びてくる。
こうした、職住スタイルの変革まで波及してこそ、LCCの社会的意義が出てくるというものだ。そのためには、企業も個人も、前世紀の遺物と化している労働慣習という固定観念から、とりあえずは解き放たれている必要もあるだろう。
- 2012.02.29 Wednesday
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- 09:10
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- by 茂田カツノリ